• 電気通信大学、プログラミング教室、東京都調布市

▼ヴァネバー・ブッシュさん(10月26日)を起点に始めた話がENIACの女性プログラマとその夫2人の話になった流れで、モークリーさん(11月4日)とENIACを共同開発したエッカートさんを紹介する。
▼エッカートさんは天才児で、高校時代の成績は全米テスト2位。行きたい大学にはどこでも行けた。しかも家は裕福。それで本人はMITを希望。しかしながら母親が離れたところに息子を出すのを嫌がったことと、父親が息子にはビジネスを学んでほしいという希望のため、ペンシルベニア大学の経済学部で手を打つ。だが経済学部は肌に合わなず、工学部に転学部。これが良かった。電気や機械を扱う才能を発揮しENIACの共同発明者として歴史に名をはせる。
▼モークリーさんはENIACの全体を見渡しながらソフト面に注力するタイプ、エッカートさんはハード面が得意。得意分野の違いはコンビで成果を出し続ける定石だ。二人はペンシルベニア大学を辞めて起業し(それまでもそれからも逆風がぶいぶい吹き荒れる)、会社の資金繰りに困って買収してもらったりしながらも、結果的にはユニシスという会社で二人のDNAが継承されている。ちょっと見ると連戦連敗、でも、よくみると最後は勝ってるじゃん、という人。

ジョン・プレスパー・エッカート John Presper Eckert 1919-1995
1919年、フィラデルフィア生まれ。父は不動産業。家庭は裕福。
教育
小学校はウィリアム・ペン・チャーター・スクール。運転手付き自家用車で送迎。
高校時代はフィラデルフィア技術者クラブに所属。午後になるとテレビの発明家 Philo Farnsworth 氏の電気実験室で時を過ごした。
カレッジボード試験(大学入試の全米共通テスト)で全米2位の成績。
ペンシルベニア大学ウォートン・スクール(経済学部)に入学。
1937年(18才)ペンシルベニア大学ムーア・スクール(電気工学部)に転部。レーダーを研究。学内の微分解析機に手を入れる
1939年(20才)WWII
1940年(21才)最初の特許「光変調法と装置」を申請。
1941年(22才)戦争省とムーア・スクールが共同で実施した工学・科学・戦争管理訓練プログラムESMWTの夏季電子工学コースでTA。このコースをモークリーさんが受講して出会う。
1942年(23才)モークリーさんが汎用電子計算機の提案メモを作成。陸軍と大学のリエゾンのハーマン・ゴールドスタイン中尉(11月2日)が仲介。
活動
1943年(24才)モークリーさんがムーアスクールの助教授になる。陸軍とペンシルベニア大学がENIACの建造契約を締結(6月)。モークリーさんが概念設計、エッカートさんはハードウェアエンジニアリングを担当。
1944年(25才)データとプログラムを格納する水銀遅延線(記憶装置)を考案。
1945年(26才)ENIAC完成(2月)。「EDVACに関する報告書の第一草稿」公開(6月)。WWII終戦(9月)。
1946年(27才)ペンシルベニア大学でENIAC公開(2月)。ペンシルベニア大学が知財取り扱い方針を変更。3月以降、エッカートさんとモークリーさんが大学に残れば権利が全て大学のものになるため退職。二人でElectronic Control Companyを起業、BINACの開発に着手(4月)。
1948年(29才)国勢調査局が1950年の国勢調査に備えてEMCCのコンピュータUNIVAC Iを購入する契約。ソフトウェア部門を創設。
1949年(30才)モークリーさんが世界初のプログラミング言語Short Codeを考案。
1950年(31才)レミントンランド社がEMCCを買収。EMCCはレミントンランドのUNIVAC部門となる。
1951年(32才)UNIVACの1号機を米国国勢調査局が契約、同年内に納品。アメリカ陸軍も購入希望。以降、46台を販売。
1952年(33才)1952年の大統領選の予想をUNIVACが当て、CBS放送が大々的に放送したことから人気が出る。
1952年(33才)UNIVACの2号機を国防総省に納入。
1955年(36才)レミントンランド社が電気機械メーカーのスペリー社と合併。スペリーランドのUnivac部門になる。
1960年(41才)スーパーコンピュータUNIVAC LARC(Livermore Advanced Research Computer)を開発。
1968年(49才)アメリカ国家科学賞を受賞。受賞理由:高速電子デジタルコンピュータの作成、開発、および改良における先駆的かつ継続的な貢献。
1986年(67才)スペリー社とバロース社が合併してユニシスUnisys Corporationになる。
1989年(70才)ユニシスの相談役。
1995年(76才)ペンシルベニア州で死去。

https://en.wikipedia.org/wiki/J._Presper_Eckert
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%97%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%83%91%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%A8%E3%83%83%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%88
https://history-computer.com/People/EckertBio.html