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▼J・ヴォーカンソンさん(1709-1782)が世界初のオートマタ(人型ロボット)「笛吹人形」を作ったのは1737年。パンチカード式の織機開発に取り組んだのが1745-50年のこと。
▼今回のP・ドローさん(1721-1790)は創意と芸術性に富んだスイスの時計職人で、ヨーロッパの宮廷や富裕層向けに高級時計に加え、時計技術を応用したオートマタを作った人だった。代表作「文筆家」は1774年で、笛吹人形の40年後。
▼なぜコンピュータに関係なさそうな話を持ちだしているか、というと、時計を作る技術は発展してバベッジさん(1791-1871)の階差機関を作り出す、という結びつきがあるから。
イギリスは海外進出が盛んになっていた。航海術も発達した。その流れで揺れる船でも正確な時を図る時計が絶対的に必要だった。船舶用の正確な時計をクロノメーターというけど、これが発明されたのが1735年。正確な時計を作るためには、質の良い材料と高度な加工技術が必要だ。そういう技術を持つ職人が当時のイギリス、フランス、スイスにいて、時計やオートマタを作っていたという時代背景がある。技術力の向かう先がお国柄を表していて、フランスではパンチカード式自動織機につながり、スイスでは精密高級時計路線となり、イギリスでは階差機関になった。
▼で、今回はスイス人でオートマタと時計でヨーロッパ世界を席巻したP・ドローさんを紹介する。ヴォーカンソンさんが当時のフランスの天才なら、ドローさんはスイスの天才。高級精密時計はスイスという今に続くイメージを最初に作った人。

ピエール・ジャケ・ドロー Pierre Jaquet-Droz 1721-1790 時計職人、オートマタ制作家

1721年、スイス、ラ・ショー=ド=フォンの農家生まれ。
身の回りに時計職人がいたので精密機械や時計製造に興味を持つ。
1738年(17才)ラ・ショー=ド=フォンに時計工房を開き時計作りに集中(47年まで)。
ムーブメントに工夫を凝らし同業者の中で性能が抜きん出る。音楽を鳴らしたりロボットを動かす技術に活かし富裕層のファンを獲得
1750年(29才)結婚。
1752年(31才)長男アンリ・ルイ誕生。
活動
1758年(37才)知事のマレシャル氏の紹介でスペイン国王フェルディナンド6世と面会。持参した時計を全て大金で購入してもらい大成功。
1759年(38才)スペインで得た資金で懐中時計・置時計・オートマタの開発を進める。アンリ・ルイと養子に迎えたレショーが加わる。ジャケ・ドロー&レショー社。
1768年(47才)技術力をデモするため人型ロボット(オートマタ)の制作に着手(74年まで)。
1773年(52才)2,000個の部品からなるオートマタ「画家」を制作。描ける絵は「ルイ15世の横顔」「ロイヤル・カップル」「犬」「蝶に引かれる馬車を操るキューピッド」の4種類。
6,000個の部品からなるオートマタ「文筆家」を制作。羽ペンにインクをつけて40文字の文章を書く。
1774年(53才)「画家」「文筆家」「音楽家」のオートマタをラ・ショー=ド=フォンの工房で公開。注目を集める。同地がスイス時計製造業の代表的都市になっていく。
商工業の中心地ロンドンに第2工房を開設。ルイさんが経営を担当。レショーさんが営業担当になりJames Cox London社と提携し、インド・中国・日本への進出の足掛かりを得る。紫禁城に入る最初のヨーロッパ時計になる。
1775年(54才)3体のオートマタを持ってパリへ。ルイ16世とマリー・アントワネットにデモ。
1780年(59才)ヨーロッパの宮廷やロンドンを巡る(81年まで)。
1782年(61才)パリで展示出張。
1784年(63才)リヨン、ロシア、カザン、マドリッドへ出張。気候が厳しいラ・ショー=ド=フォンや霧のロンドンから離れるためジュネーブに移住。小型の時計の製造に特化。ジュネーブの時計学校の設立に協力。
1789年(68才)フランス革命が起こり、高級嗜好品が売れなくなる。
1790年(69才)中国の主要取引先の未払いやロンドンの取引先の倒産により経営悪化。死去。
1791年、ルイさんが死去(39才)。
1806年、ナポレオンが発布した大陸封鎖令により商品の流通と事業継続が困難になる。
2000年、スウォッチグループがジャケ・ドロー社を買収。

https://www.jaquet-droz.com/ja/the-extraordinary-history-jaquet-droz
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%82%A8%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%82%B1%E3%83%BB%E3%83%89%E3%83%AD%E3%83%BC