• 電気通信大学、プログラミング教室、東京都調布市

小数の表し方に、固定小数点数と浮動小数点数という二つの方法がある。カハンさんは多様なコンピュータと向き合いながら計算誤差を押さえ、プログラマにも優しい方法を追及した。その結果、浮動小数点数の父と呼ばれるようになった。

ウィリアム・モートン・カハン William Morton Kahan 1933- カナダの数学者、計算機科学者

1933年、カナダ生まれ、トロント育ち。両親はユダヤ系の移民。服飾デザイナーの母親は父親の経営する縫製工場のためにデザインを提供。
家庭ではヴェルヴェルというニックネームで呼ばれていた。友人たちからも英国風のウィリアムよりもヴェルベルが好んで使われた。チューリング賞でも、WILLIAM (“VELVEL”) MORTON KAHANと表記されている。
物心がつくころからメカと電子部品を組み合わせた工作が好き。第二次世界大戦後、カナダ空軍から放出された電子部品の修理バイトで工作熱がますます高まり、そのままtinkering愛が続く。カスタマイズした1984年製のプジョー505sを2台所有し30年に渡って乗り続ける。数式が素早く印字できるように手を入れたドットプリンタへの愛が強く、レーザープリンタを長い間使わなかった

▼略歴
1953年(20才)トロント大学で数学の専攻に必要だったのでプログラミングを修得
トロント大は初期のコンピュータの開発拠点だった。世界最初の商用コンピュータFERUTやこれに続くManchester Ferranti Mark Iを保有し使用していた
1954年(21才)トロント大学B.Sc.(Mathematics)
1956年(23才)トロント大学M.Sc.(Mathematics)
研究対象を数値解析とコンピュータの活用による応用数学の可能性探索に絞り、他大学の計算センターにも出向いた
1957年(24才)の夏、イリノイ大学でILLIAC Iを相手にする
その後の2年間はケンブリッジ大学数学研究所でEDSAC-2を使う
1958年(25才)トロント大学Ph.D.(Mathematics)
1958-60年(25-27才)ケンブリッジ大学数学研究所でポスドク・フェロー
1960-68年(27-35才)トロント大学の数学助教授に就任。数値計算のエラー分析を行う。計算結果の正確性を決定するだけでなく、ハイ・パフォーマンスを維持しながら正確性を改善する新しいソフトとアーキテクチャの設計にも踏み込んだ。結果、IBM 7094で浮動小数点数の正確な計算ができるソフト環境を実現。この成果はIBMのSystem /360に反映
1968年(35才)カリフォルニア大学バークレー校の教授(数学、コンピュータ科学)
1980年代(40-50代)浮動小数点演算に関するバグを検出するプログラム”paranoia”を開発

▼1989年(56才)数値解析への根本的な貢献に対してチューリング賞を受賞

https://amturing.acm.org/award_winners/kahan_1023746.cfm
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%A0%E3%83%BB%E3%82%AB%E3%83%8F%E3%83%B3