• 電気通信大学、プログラミング教室、東京都調布市

▼これは、カーニハン先生がプリンストン大学の Computers in Our World というコースで取り上げる話題を網羅した本です。このコースを受講する人は「英語や政治学の専門家、歴史学者、古典学者、経済学者、音楽会、そして芸術家の人たち」(p.8)とのこと。そのため、この本もずいぶんと読みやすく書かれています。コンピュータは利便性だけでなくリスクも併せ持っていることにも触れています。▼私の印象:この本は、コンピュータサイエンスの「道路地図」です。全体がどんなふうになっているのかを俯瞰できます。しかし、道路地図を見て現地が分かったつもりになっても、実際にそこに行ってみると坂あり谷あり段差ありで、思ったのとは違うことがあります。この本の素晴らしい点は、読者に地図と現地の違いを意識させながら、コンピュータサイエンスをあくまで日常の感覚で捉えられるようにしているところです。

▼ブライアン・カーニハン著、酒匂寛翻訳「教養としてのコンピューターサイエンス講義」2020年、日経BP